皆様は、血圧の単位をご存知ですか。それは、mmHgと書いて、ミリメーター水銀柱と読みます。
今は、自動血圧計が主流ですが、旧来より使われている水銀式血圧計の仕組みが分かれば合点がいきます。

この仕組みをお話します。

 先ず、特殊な形の空気袋(カフ)を腕に巻きつけ、空気を送り、そこの圧を上げ、外圧で腕の動脈を締め上げます。
すると、動脈内圧(つまり血圧)はその外圧に負け、動脈は形を変えます。やがて、内腔が無くなり、指先へ向かう血
液の流れは止まります。

 次に、少しずつ、空気を抜きながら外圧を下げてゆくと、血圧が勝ち、動脈の形は戻っていきます。
この間の動脈の変形が狭窄です。狭窄状態では、流れは乱れ、ノイズ(コロトコフ音と呼ばれる)を生みます。
このコロトコフ音を聴診器で捕捉するのです。

 つまり、血圧を測るということは外圧を掛け、狭窄を作り、音を発生させて、その音を聞いているということなのです。
掛ける外圧をモニターするため、比重13.5の水銀を用いた柱を立て、そこにmmの単位を刻みます。
音を捕捉した時点の水銀柱の最高点が最高血圧、最低点が最低血圧というわけです。自動血圧計も原理は同じで、
ただ、電気的に、自動的にやっているだけなのです。そして、単位もmmHg(ミリメーター水銀柱)が残っているというわ
けです。

 ここで、ご自身の健診時の血圧を思い出して下さい。
一般成人の血圧の正常値は、最高血圧で130 mmHg、最低血圧で85 mmHgまでとされています。
ご自身の正常値との差はいかがでしたか?オーバーした分が問題となるのですが、それが、例えば20mmHgとします
と、水圧に換算して270mmにもなります。この270mmは、人の心臓の出口から脳までの距離に匹敵します。
つまり、座っていたり、立っていたりしていても、過剰分だけで、血液は脳に届くことを意味します。
それだけ多くのストレスがあらゆる組織に掛っていることを意味します。

 普段から、血圧を13.5倍し、その数値を意識して、生活してみてはいかがですか。
決して、一喜一憂する必要はありませんが。この理由は、次の機会にお話します。

 今年の春は、何故か、寒暖・晴雨の落ち着かない日が続いております。皆様のご体調はいかがでしょうか。今回から、何回かにわたって、もっともポピュラーな病気である高血圧についてお話します。

 先ずは、高血圧と指摘されれば、自覚症状がなくとも、それは病気と思ってほしいのです。何故かと言いますと、元来、この病気は何の自覚症状もなく始まって、進行し、やがて、生活の質を低下させ、ついには致命的な合併症も招くからです。サイレント・キラー(静かな殺し屋)とさえ呼ばれています。

 年齢を重ねれば、健診で高血圧を指摘される方は多くなります。しかも、直ちに、生活習慣の厳格な改善や、あるいは、医療機関を受診して、服薬も要するような方々も稀ではありません。そのような場合、当方としては、説明をつくしているつもりですが、毎年、見ていますと、中にはそれに応じて頂けない方も見受けられます。その原因は、受診時の説明不足もあると思い、ここで、じっくりお話したいと思います。今回は、高血圧という病気のお話の前に、血圧について説明します。

 健康に生きるには、全身に隈なく栄養を供給することが必要です。それには全身に血液を流すことが必要で、その血液を流す力の源泉は心臓です。その時、血管と心臓に生ずる圧力が血圧です。両者は弁で仕切られていますが、弁が解放されている時、つまり、血液が押し出されている時、圧力は同じです。この時の一番高い圧力を最高血圧もしくは収縮期血圧と呼びます。一方、最低血圧(もしくは拡張期血圧)とは、弁の開く瞬間、つまり、血液の押し出され始めの時の圧力を指します。1回前のサイクルで言い換えますと、心臓から得た圧力が無くなり、血液の流れも留まった時の圧力です。この最高・最低血圧は、鼓動が毎分数百回のマウスから毎分20回の象まで、哺乳動物では人間も含めて、特に、生まれてくる時には、ほとんど同じといわれています。

 こうお話しますと、私自身もそうですが、皆様も、なんと不思議で、巧妙な必然性が隠されていることかとお思いになりませんか? 次回は、さらに詳しく、お話を進めていきます。

 寒さも一休みで、過し易くなったかと思えば、他方、花粉の飛散時期に入り、こちらは憂鬱になります。
皆様はいかがお過ごしですか。今回は、最近の診察室の様子をお話したいと思います。

 ご多分にもれず、当診察室にも情報処理技術の大波(IT化)が押し寄せ、今では最大で4面のモニターと
にらめっこをしながら、診察を進めています。

 勿論、IT化の究極の目的は受診者の方々へのサービスの向上にあります。
具体的には、診断の礎となる医療情報そのものの質の向上、それによる診断の向上、医療情報の取り扱い
易さ(検索、閲覧、統計)、人為的ミスの減少による安全性の向上、指導時のスムーズな情報提供、待合での
受診者管理による待ち時間の短縮などがありますが、現時点では、これらを完璧に達成しているとは、正直、
思っておりません。IT化を進めながら、少しずつ、改善を図っているのが現状です。

 また、診療はいざという時には、一クリニックでは完結せず、地域医療ネットワークが大事になります。
この時、スムーズな施設間の連携にはIT化は大きな力になり、今後、この面でも他施設との協力を深めて行こう
と思います。

 一方、IT化の弊害として、診察室での受診者の方との対応が希薄になりがちで、これには十分に気を付けね
ばならないと、日々、戒めております。その他の弊害として、あってはならないことですが、報道でも耳にするシ
ステム障害や、情報漏えいがあります。
これらに対しては、受診者の安心を頂けるように、以前から全力を尽くしているところです。

 硬いお話になりましたが、最後に、先日のある受診者の方との会話をお話して終わります。

 この方は、診察室のIT化に感心され、この進化を褒めて頂いたのですが、私が冗談で 『 診断医も近々、
ロボットになるかもしれませんよ 』 と。すると、その方は 『 それはとても面白いかも! 』。 私 『 ・・・・ 』。

旨いお話

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 厳しい寒さが続いています。皆様はどんな冬をお過ごしですか。今回は、『旨い』お話をいたします。
うまい話には気をつけろと言います。どうぞ、注意して、お聞きください。

 今の時期、美味しい鍋料理をはじめ色々のご馳走と遭遇する機会が多くあり、そして、ついつい運動
不足の結果、カロリーオーバーになりがちです。そこで、『うまい、美味い、旨い』をキーワードにして
お話します。美味しいご馳走とのお付き合いに役立てば幸いです。

 ご存知の通り、食物の旨み成分はグルタミン酸やイノシン酸に代表されますが、これによる味覚は、
食行動として、三大栄養素のひとつ、たんぱく質を求めるために備わったと考えられています。
もうひとつの脂肪も、『脂』は肉体の一部を表す『にくづき』に旨いと書きますが、最近になって、その
旨みを感知する受容体が舌に備わっていることが分かりました。
糖質、たんぱく質の熱量が4キロカロリー/グラムであるのに対して、脂肪の熱量は9キロカロリー/グラムもあること
を考えると、熱量の摂取効率からみて、これはうまい話です。そして、飢えとの戦いが日常であった時
代、脂肪を求める食行動は当然であったと思われます。

この時代、糖質であれ、たんぱく質であれ、脂肪であれ、得られるときに得て、食べられるときに食
べて、余った熱量を体内に脂肪として貯めておくことは重要な機能でした。
しかし、現在のような飽食の時代、これをそのまま持ち込めば、肥満の進行につながります。
肥満が肥満だけで終われば良いのですが、脂肪を蓄えて肥大化した内臓の脂肪細胞では、善玉の活性物
質の分泌が減り、逆に、悪玉のそれが増えるのです。この不幸なアンバランスは、体内のブドウ糖を燃
やす時に必要なホルモンであるインスリンの効きを悪くし、糖尿病の発症の危険を増します。
また、善玉の活性物質が減れば、その働きである脂肪の燃焼を高めたり、全身の血管を守ったりする働
きが弱まります。その結果、脂質異常と動脈硬化を引き起こし、そして、高血圧を招きます。
このドミノ倒しがメタボリック症候群(メタボ)というわけです。

ドミノを断ち切るには、おいしいご馳走の食べ過ぎや運動不足を解消することが大切です。
そうすれば、糖尿病、脂質異常、高血圧を防げて、一石三鳥というわけです。これはうまい話です。
皆様はどう思われますか?

 師走になり、なんだか気ぜわしく感じられます。また、今日、18日、今年一番の寒波にも会いましたが、
いかがお過ごしですか。今回は、お約束通り、『塵も積もれば』の続きです。

 早速、結果からお話します。3か月間、夜食のデザートを辛抱した結果です。体重は2.2kg、腹囲は1cm、
それぞれ減っていました。体脂肪率も25%から23.4%と1.6%の減少でした。数値は期待したよりわずかで
したが、当人にしてはベルトが楽になったりして、効果を実感していますので、これらの値を有意として、お話
を先に進めます。

 以前、増加傾向にあった自分の体重は、取りも直さず、摂取食物カロリーのオーバー分が体脂肪として蓄
積されていたのですが、辛抱を始めた時から消費に転じて、その2.2kgが減ったというわけです。
これをカロリーに計算しますと、脂肪1gは9kcalを発生しますので、19,800 kcalに相当します。
これをほぼ100日で成し遂げた(?)ことから、1日当たり200 kcalを消費したことになり、もし、この量をウォー
キングで消費すると、毎日1時間を要することになります。
この時間を作るには、ものぐささやいろいろな事情で困難なことを考えると、今回のささやかな辛抱の選択は
正しかったと、今、思っています。しかし、体脂肪率を減らして、これ以上の改善を得るには、やはり、筋肉を
使う運動が必須です。そこで、次の計画として、通勤の行き帰りに、1駅分を歩くことを考えています。
その成果は、次の機会にお話いたします。

 『塵も積もれば』の結論ですが、山にはならなくても丘にはなってきていると思っています。
皆様も生活習慣上で改善が必要なら、丘を目標にして、始められそうなことから計画されてはいかがでしょうか。

 もう間もなく12月ですが、どんな秋をお過ごしですか。今回は、いつもと違って自分の健診結果とその反省、
そして、その後の行動を話題にしました。題名の如く小さな話ですが、参考になれば幸いです。

 診察室に座っていますと、時々、受診者の方から『ドクターは健康管理にどんなことをしているのですか?』
と逆質問を受けますが、特別に何もしていないので、返答に困ってしまいます。今まで、そのことに無頓着に
過ごしても、メタボには関係ないと高を括っていたのです。
しかし、9月の健診で、体重は増加し、腹囲は限りなく85cmに近づき、体脂肪率も25%になっていました。
ちなみに、概ね、男性では25%以上、女性では30%以上を肥満とされています。
一方、ボディーマスインデックス(BMIと略し算出式は【体重?÷身長m÷身長m】正常値は18.5?25)は22.8
と外観上は正常ですから、これはまさに隠れ肥満そのものです。これで、最近のベルトのきつさも納得です。

 このままでは生活習慣病へ一直線ということは、医者ですから、余計にわかります。受診者の方からの逆質
問に真剣に向き合わなければならない羽目に陥りました。些細なことでも、できることをと、自問自答した結果
が、夜食のデザートを抜くことでした。

 ここで、少々、私の生活習慣をお話します。決まった運動習慣は有りません。もともと、歩くことは好きですが
このところめっきり減っています。食習慣では、朝はトースト1枚もしくはご飯1杯。昼はクリニック近くの食堂を、
ほぼ曜日を決めて選んで、外食。夜は、家で食事し、その時、少しのアルコールも、また、少しの甘いものも
好きで、これまで、毎晩、嗜んでいました。禁煙を指導する立場の医者ですから、勿論、喫煙習慣はありません。

 その後、夜食のデザートを止めて、2か月を経過しているのですが、今、ベルトのきつさは緩んだような気がし
て、さらに続ける気持ちも増しています。

次回では、『山となった』か、その後の結果をお話します。そして成功、失敗に関わらず、それを医学的に説明し
ようと思っています。

 今、まさに秋たけなわで、「スポーツ」の秋、「食欲」の秋、「芸術」の秋など、どんな形容も似合うこの頃の気候
ですが、皆さまはどんな秋をお過ごしですか。
今回は、ある受診者の方との最近の診察室でのやり取りを通じて、私たち、医療従事者が身につけておかなければ
ならないコーチングスキルについてお話しようと思います。

 『そもそも、コーチングスキルとは何?』からお話します。
スポーツ選手に付いているコーチなら、体を使ってお手本を示し、それによって記録の向上を目指すことも可能です。
一方、私たちは、ことばによるコミュニケーションだけを頼りに、対象者の行動が好ましい方向に変わっていくことを
サポートしています。これが、私たちのコーチングです。このコミュニケーションでは、良く聞いて、その現状を認め
てやり、そして、今後の改善に向けた答を自ら引き出せる適切な質問を投げかける、この3つのスキルが肝要と習いま
した。

 診察室での実例をお話しましょう。その受診者の方は診察室に入って来られて、先ず、『腰痛』を訴えられました。
そして、そのため、最近は『好きなスポーツ』もお休みしていると、残念がって言われました。さらに、『持病の腰痛も
好きなスポーツで悪化するのに気付いているのだが、腰に頼らざるを得ない。』と。私はお話を聞きながら、カルテとこ
の日の検査記録に目を向けました。すると、その方は長年の喫煙者で、肺機能検査から息切れを主訴とする慢性閉塞性肺
疾患(COPD、当ブログ2008年7月29日付をご参照ください)の入り口にあることが分かりました。
 
 ここで、いつものように喫煙者に対して行う一通りの質問を投げかけました。『禁煙のお積もりは?』と。答えは、『ノー』
でした。瞬間、私には『好きなスポーツ』とその方の『プレースタイル』が頭に浮かびました。そこで、次の質問を致し
ました。『あなたのお好きなスポーツはテニスで、しかも、長く続くストローク戦は息切れのため苦手で、サーブアンド
ボレーに頼ってはいません?』と。受診者の方の顔色の変化から、的中したことは分かりました。次に、『持病の腰痛の
原因は、瞬間的な腰への負担の多いプレースタイルにあり、これを変えるべきで、そのためには煙草をやめて、息切れを
防ぐようにすれば、まだまだ、スポーツを楽しめると思いますよ』とお話しました。そして、最後の質問、『禁煙します?』。
お答えは、『イエス』でした。
 
 今回、診察室でのコーチングの実例を示しましたが、皆さまの実生活でもコーチング法は役立つと思います。参考にな
れば幸いです。

 朝夕は過ごしやすくなりましたが、皆様はお変わりございませんか。

 今回は、前回の続き、『運動と2種類の筋肉のエネルギー(栄養)消費の違い』について
お話します。

 2種類の筋肉とは、速筋(白筋)と遅筋(赤筋)で、前者は自らため込んでいるエネルギー
(糖分)のみを糧に、瞬時に強い力を生みますが、長続きしません。一方、後者は、絶え間
なく送られてくる栄養と酸素を糧に動き続けます。ここでは栄養のうち、先に糖分が消費さ
れますが、やがて、脂肪が燃やされるようになります。この脂肪とは、日々、消費されずに
体内にため込んだそれです。
 これが、今、話題のメタボの元凶であることは、皆様、先刻、ご承知のことと思います。
このメタボの解決には、また、その予防にも、持続的な運動が大切であることがお分かり
になると思います。

 前々回にお話しした『運動と心拍数』を基に、具体的な運動方法をお示しします。心臓は
遅筋(赤筋)で、絶え間なく動き、脂肪を燃料としております。その鼓動(心拍数)をモニター
にして、運動するのは、ある意味、当然かもしれません。

 すなわち、脂肪を効率よく燃やし、持続しても、心臓にも負担がかかない運動とは、心拍
数(毎分)にして、138から年齢数の半分を引いた値(138?年齢/2)といわれています。

 たとえば、40歳の人は、約120/毎分、60歳の人は、約110/毎分、というわけです。そして
運動時間は、脂肪が燃え始める20分以上は必要です。

 間もなく、本格的な食欲とスポーツの秋がやってきます。食欲と運動にはバランス良く、気
を使って、運動には心拍数をモニターにして下さい。

 そして、皆様のご健康を祈っております。

 夏、本番となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。今回は、真に運動の主役である、筋肉についてお話したいと思います。
 体を動かす筋肉は骨格に強く付着しています。燃料としての糖分、脂肪、酸素といったエネル
ギーの存在下で、神経を伝わってきた命令によって、自らの体重や荷に打ち勝って、収縮しす。
その結果、骨と骨の間の関節が動かされ、目的とする運動が成立するのです。これが骨格筋の
役割です。
 その他にも筋肉は、目を動かしたり、腸を動かしたり、呼吸をしたり、血液を汲みだしたりと、動
くものの動力源となっているのです。すなわち、まさにエンジンです。また、特に、血液を汲みだす
心臓は、筋肉の塊です。しかも、巧妙にアレンジされた塊なのです。それによって、エネルギーを
体の隅々の筋肉にまで届けるエンジンなのです。骨格筋を主エンジンとすれば、これは副エンジ
ンというわけです。運動には、絶えずエネルギーの供給が必要です。
 そこで、運動の主体である骨格筋(主エンジン)とエネルギー供給装置である心臓(副エンジン)
についてお話を進めます。幸い、先にお話したように、どちらも筋肉です。共通して、お話ができま
す。
 これらの筋肉は、その運動特性によって、速筋と遅筋の2種類に分けられます。また、その外観
からは白筋と赤筋とに分けられます。速筋とは,自らため込んでいるエネルギー(糖分のみ)を利
用して、素早く反応する筋肉です。他方、遅筋とは、後方にある心臓(副エンジン)からの絶え間な
く送られてくるエネルギーを頼りに収縮する筋肉です。こちらは、エネルギー運搬の道である毛細
血管が発達していて、赤く見えるのです。ですから、こちらが赤筋で、他方、速筋は白筋というわ
けです。
 ここで、魚を思い浮かべながら、2種類の筋肉の特徴をお話します。普段は泳がずにいて、瞬間
に敵から逃げたり、瞬間に捕食したりする白身の魚、一方、大海を悠然と回遊している赤身の魚
がおりますが、皆様は何の魚を想像されましたか? そして、どちらがお好みですか? 本筋から
それますので、今回は、魚の話はここで止めます。お話したかったのは、目的に合った筋肉をそ
れぞれが持っているということです。
 人の骨格筋(主エンジン)には、両方があり、目的に合わせて、トレーニングし、それぞれを発達
させることができるのです。副エンジンである心臓は、文字通り、一生動きを止められないエンジ
ンですから、当然、赤筋でできているのです。そして、自ら供給するエネルギーの一部を絶えず、
受け取って働いているのです。
 私たちが運動やトレーニングをする時、2種類の筋肉の特性とエネルギー(栄養)の消費のされ
方の違いについて知っておくことが重要です。次回には、この続きをお話します。

 本格的な梅雨の季節になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。今回は、運動すれば増すことを誰もが体感できる脈の数(心拍数、鼓動)についてお話します。現在、運動に励んでいる方や、これから運動を始めようとしている方にとって、参考になれば幸です。

 心拍数とは1分間当たり脈の数のことで、車に付いているエンジンのタコメーター(回転速度計)が示す数と同じ指標になるのです。運動によって心拍数が増えれば、心臓はその数に比例した量の血液を汲み出し、血液は肺で酸素を取り込み、燃料となる糖質と脂肪も運びます。

 そして、運動量を上げても、それ以上に心拍数が上がらなくなった時点を最大心拍数と呼びます。この時点では、もはや運動の持続は不可能であり、危険でもあるというわけです。つまり、エンジンで言えば、破壊につながるレッドゾーンに入ったことを意味します。その手前には、イエローゾーンの心拍数も、心拍性作業閾値(しんぱくせいさぎょういきち)と呼ばれ、タコメーター同様にあるのです。

 これらの心拍数は、運動量を増して行きながら、同時に心拍数を測れば分かるのですが、先に述べたように、この計測は、イエローゾーンからレッドゾーンへの突入を意味します。このため、安全を図る意味で、心電図をモニターします(なぜ、心電図がモニターになるかは、心臓の筋肉の特性によるのですが、このわけは次回にゆずります)。

 一方、最大心拍数は、実測でなくても、ある程度の誤差を容認すれば、多くの観測例から求められた簡単な予測式で知ることができます。その予測式は、性別に関係なく、220から年齢を引いた数です。例えば、50歳の方なら、その最大心拍数は170/毎分となります。ある強さの運動の時の心拍数が最大心拍数の何%に達しているかを見て、これを心拍水準と呼びますが、これは運動強度を示します。運動をしていない、いわばアイドリング時の心拍数(安静心拍数)は個々人で異なります。起きている間、この安静心拍数から最大心拍数の間で、言い換えると、時々刻々、変動する心拍水準で暮らしているというわけです。

 ほとんどの場合、多くの時間は安静心拍数に近いゾーンで暮らしていると思いますが、心拍水準の変動を知れば、運動習慣、生活習慣を知ることになります。

 今回、色々の運動強度から求められる心拍数をお話してきましたが、これを基に、次回は、心拍数から見たみた適正な運動について、運動の主役でもあり、エンジン(心臓)のメインパーツでもある筋肉の特性を絡めて、お話したいと思います。それまで、ご自身の心拍数を手首の脈から色々な場面で測っておいてください。できれば、その場面と心拍数の記録をお願いいたします。